最後の最後まで震える手。マリッジ・ブルー。 1-1.→2.

1-1.最後の最後まで震える手。

「ねえ……。」
「うん?」
「一つ、確認しておきたいのだけど?」
「いいよ。何?」

 実はこれは、昨日も聞いたことなのだけど、最後の最後まで震える手と心に、覚悟を決めさせたかったのかも知れない。

「君を【略】のか、君が死んでから【略】のか、どっちがいい?」

 手に力が入ったのか、ドッドッド……という振動に少しだけ歪みが生じた気がした。このチェーン・ソウで、これから彼女をバラバラにする。バラバラにするために、チェーン・ソウのエンジンをかけたのだから。


2. マリッジ・ブルー。

「嫁さんが可愛いのは最初だけだ。給料を任せるようになるともうダメだね。多分、俺よりも通帳の残高を気にしている。子どもが出来たら、もう確実に恋人じゃあなくなって母親になる。ま、それはそれでいいのだけど、日増しに肥えていくのは、ほとんど詐欺じゃないかな?」

 彼女ができた時、結婚を決めた時、こんなことをよく言われたものだ。大学で初めてできた彼女を家に連れて行った晩、彼女はもう帰った後だったけど、親父がビールで顔を真っ赤にしながらそんなことを言っていた。あの子とはもう会ってないけれど、もう結婚しただろうか。それとも死んでしまっただだろうか。

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