マリッジ・ブルーは世の中に現れた。 7-1.

7-1.マリッジ・ブルーは世の中に現れた。

ブログとかが流行っている世の中だから、例えば『マリッジ・ブルー闘病ブログ』などあってもよさそうだけど、様々な重大な疾病に関するブログはあっても、マリッジ・ブルーのモノだけはなかった。なんらかの規制がされているのか?と思ったのだけど、ふと、自分がアンのことをブログに書いて発信したいか?と考えてみると、そんな気は全く起きなかった。みんなそうだったのかも知れない。図書館には、昔の新聞などネットにはない情報があるに違いない……そう話して来たわけだけど、僕もアンも、とにかく動いていたかったのかも知れない。

 図書館について僕とアンは、それぞれ別々に調べてみた。僕は新聞記事を調べ、アンは医学関係の書籍を探してみる。まだ何も分かってない未知の病気だが、それを論じたモノはそれなりにあるみたいだった。ありがたいことに新聞はデジタルデーター化されており、『マリッジ・ブルー』と検索すれば過去の記事を閲覧できた。こんな便利なモノがどうしてインターネットで閲覧できないのか?と思ったが、その隔離された感じはどこか重苦しく、閉鎖的なモノを感じる図書館に相応しいとも思った。図書館とインターネットはイメージの中で遠い。

 僕が高校生の時に、マリッジ・ブルーは世の中に現れた。最初は大々的に取り扱われていたが、時間が経つにつれて新聞での扱いも小さくなって行くことに気付く。世界的な奇病ではあるけれど、年間一〇名にも満たない発症例は、次第に話題性を失っていった。最初は、ショッキングに思われた『再殺』ですら十年経たないうちに、日常の中で時々あるモノとして受け入れられてしまった。

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